闇っ子~戸籍のない子供たち~第1話ネタバレ 安武わたる作
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このブログでは、中国一人っ子政策で生まれた「黒孩子(ヘイハイズ)」の女の子・雪蘭の厳しい半生を描いた「闇っ子~戸籍のない子供たち~」を、表題作を含め短編漫画集のあらすじやネタバレ結末、感想をまとめてご案内しております。
作者の安武わたる先生は「声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~」という人気作がある漫画家さんです。
「闇っ子」第一話あらすじとネタバレ
黒孩子(ヘイハイズ)の雪蘭
雪蘭は9歳、学校に通う3つ年上の姉がいました。
貧しくても親子4人でどうにか暮らしていたのに、突然弟が生まれてしまったことで、雪蘭の運命が大きく変わってしまいます。
待望の跡継ぎとなる男の子が生まれて喜びにわきあがる家族。
雪蘭もまた弟の誕生を一緒に喜んでいましたが、「弟が生まれてよかったね」と姉に言うと、姉の顔は青ざめて「バカ」としか言わない。
近所の人の「あんたのとこには黒孩子がいるんだね」という言葉の意味もわからないまま・・・
売られてしまった雪蘭の運命
自分と似た年頃の子供たちと共に、トラックで運ばれていることに気づき混乱する雪蘭。
同じく売られた小蘭から黒孩子はみんな売られてしまうんだと聞かされます。
「国がひとりしか子供を持っちゃいけないって決めたんだ」
農家の場合だけ一番目が女の子だったら、ふたりまで産んでもいいのだという。大抵の家では「男の子」がほしい。
だから次女である雪蘭は出生登録されずに黒孩子になり、弟が生まれた途端に売られ、処分された、という。
永明に買われ、蔡家の小間使いに
「店行き」にされた小蘭と雪蘭でしたが、そこに若殿のように羽振りのよさそうな蔡永明がやってきて、器量のいい利口そうな雪蘭を見て買ってしまう。
見たこともないような豪華な住まいに連れて行かれ、雪蘭は蔡家の当主の妻の小間使いとして、汚い体を現れてこざっぱりとした格好をさせてもらいます。
旦那様の夜伽をさせられる
メイドから旦那様の部屋に飲み物を持っていくように、と言われた雪蘭は自分が何をされるのかわかっていませんでした。
永明が雪蘭を買った本当の目的・・・自分の兄が「子供好き」で店に行かれると外聞が悪いため、雪蘭を妾としてあてがうためだったのです。
「闇っ子」第一話の感想
くっきりとした綺麗な顔立ちの雪蘭は、永明によって表向きは小間使い、その裏で蔡家の当主・蔡朱陽の妾をさせられることに。
たとえ永明に買い取られていなくても、店ではもっとひどい目に合わされていただろうし、黒孩子(ヘイハイズ)の運命は過酷なものです。周囲の人間たちは皆、雪蘭のことを人間ではなくモノ扱いしており、子供の雪蘭は運命に翻弄されるしかありません。
出生届を提出してくれなかった親のせいで戸籍上は「いない子供」であり、学校に行くことはおろかたとえ道で強盗にあったり襲われたりしても警察が助けてくれません。
社会的に存在していない、ということはこれほどひどい目にあうのだ、と想像するとゾッとしてしまいます。
雪蘭の扱いがひどすぎて「わたしはいらない子なんだ」と思い込むのも無理はありません。こんな辛い思いをしてきたのに、頑張って耐えて生き続けてきた雪蘭は蔡家から捨てられたことでやっと「自由」を手に入れます。
そして、「いらない人間」なんていないんだ、と人生をやり直す一歩を踏み出します。
重いテーマでしたが「生きる」ことを決してあきらめない雪蘭の姿がとても美しく、黒孩子であってもこれからの人生は自分のために自由に生きていってほしい、と応援したくなるお話でした。
「闇っ子〜戸籍のない子供たち〜」の第2話「甘い話苦い水」レビュー