いらない子 ネタバレ(闇っ子収録作)第4話 安武わたる作
血のつながっている実の娘なのに、どうしてわたしだけ・・・兄と姉をかわいがる母親は、末っ子の娘だけを「奴隷」のように扱い、差別する。
そんな環境に耐えられず逃げ出した娘が、大人になってから兄と姉に捨てられた母親の面倒を見ることになり、荒れる母のせいで人生を破壊されていきます。
「いらない子」は「闇っ子〜戸籍のない子供たち〜」の4話目に収録されている作品です。
「いらない子」あらすじとネタバレ
露骨な兄弟間差別にあった少女のころ
百浦久寿美はまだ少女だったころ、比較的お上品な家に生まれたものの、自分だけが露骨に「差別」されていた。
私大の兄、有名女子校の姉のことはさんざん自慢してかわいがる母親。
母もまたお茶にお花を習って気取ったマダムのように振る舞うが、末娘である久寿美に対する態度は「お手伝いさん」「奴隷」だった。
「あたしは・・・いらない子」
幼いころから、久寿美はこの家には自分の居場所がないのだ、と思い知らされていた。
家出した久寿美
今まで自宅でこき使われても怒られるばかりだったのに、外ではしっかり働けば人から認めてもらうことができるのだ、と久寿美は働くことに喜びを覚えた。
働くのが楽しくてたまらない! そう思った久寿美はますます懸命に働き、お弁当屋の地区責任者の地位にまで出世する。
父の死と押し付けられた母
あれから18年・・・仕事で成功し、久寿美は家に戻ってみたくなった。
今なら自分を認めてもらえるかもしれない。そんな淡い期待があったから。
要領の悪い久寿美は、結局母の面倒を見させられることになり自宅へ連れて行く。
「いらない子」の感想
3人の子供たちのうち、自分だけをいじめて愛してくれようとしない母親。どうして?なぜ?という思いを久寿美さんは抱えてずっと生きてきました。
やめておけばいいのに、うっかり実家に帰ってしまったのが運の尽きで、タイミング悪く父親が亡くなり認知症の母親を押し付けられてしまうという最悪の展開。
兄と姉は母にかわいがられていたのに、愛情がまったくなく、自己中で母親そっくりです。
でもラストでホームに入所させられる母親が「一緒にいこうよ」と言ったその言葉で、ようやく自分はいらない子なんかじゃなかったんだ、と感じられた久寿美さんは親の呪縛から逃れられたのかもしれませんね。親に愛を期待するからこそ、不幸になっていたのです。
悲しいラストですが、子供に対して愛情を持たない母親に「愛されたい」という願いを持つことは、断ち切り難いことでもすっぱりあきらめたほうが幸せになれるんだ、と思えるお話でした。
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