娘を売る街~昭和の赤線・吉原~ネタバレ第4話「指きりげんまん」
安武わたる先生の最新作「娘を売る街~昭和の赤線・吉原~」の第4話「指きりげんまん」は、醜女の女郎がヒロインです。
昭和21年、「公娼制度廃止令」によって、吉原「赤線地帯」からすべての灯が落とされてしまった頃。
表向き「女を売る商売」ができなくなってしまった吉原で、遊郭の女たちが生き延びるために考えた次の商売が、「特殊飲食店」でした。
不細工な女・おフジは、醜女と言ってもいいくらいの容貌ながらも「絶妙のテクニック」で客を捕まえていましたが・・・
娘を売る街 第4話「指きりげんまん」あらすじとネタバレ
※「指きりげんまん」は「娘を売る街~昭和の赤線・吉原~」の3話目に収録されている作品です。
赤線廃止で「女給」という名の女郎に
いわゆる「赤線地帯」である吉原は、政府から公娼制度が「民主国家の恥」であるとして商売を禁じられた。
だが、そこで働く遊郭の女郎たちには行き場などない。
公式には吉原の夜の灯りは消えたものの、「特殊飲食店」で「女給」が「客と自由恋愛をする」という体裁を整えて商売自体は続けられていた。
醜女の客引き女給・おフジ
そうしたカフェー花乃屋で「女給」として働くおフジは、醜女ながら愛嬌と客を悦ばせる「口のテクニック」で多くの客を引いて稼いでいた。
ほかの「女給」たちはどんどん稼いで金を貯めまくるおフジに嫉妬して悪口を言うが、彼女らにおフジは金を貸してやっており、結局のところおフジに頭があがらない。
女たちが玉の輿を夢見る中で、おフジは男に対して冷めきった考えをもっていた。
だから、おフジは自力で金をためて店を開こうとがんばっていた。
行き倒れの美男子・行雄を拾う
道で客引きをしていたおフジは、ふらりと倒れ込んだ池田行雄を拾ってしまう。チンピラにやられたのか、怪我をして金もすられていたユキオは、そのまま花乃屋の下働きとして住み込む。
無口で覇気がない男だが、美男のユキオは女たちからキャーキャー言われてかわいがられた。
浅草に遊びに出たおフジは用心棒としてユキオを連れていき、昼飯をおごってやる。
だが途中でバッタリとおフジの客のひとりが公衆でおフジを辱めたために、ユキオはその男を殴ってしまう。
それ以来、おフジはユキオに恋をしてしまった。
既婚者だったユキオ
ユキオに心底惚れてしまうおフジは、ユキオとの結婚まで夢見るようになっていたが、ある日ユキオの妻・美都子がやってくる。
妻に土下座して「すまないすまないすまない」と謝るユキオ。
娘を売る街 第4話「指きりげんまん」の感想
おフジ(藤江)は、初めて惚れた男のために身を引いてしまいました。自分ではユキオを幸せにできない、彼が惚れているのは妻だから・・・と。
ゆきずりの女に弱みを見せられても、本当に好きな女の前では見せられないのが男。男たちはみんな、おフジに心を許して自分の弱さを見せてくれはしましたが、それは「惚れた女じゃない」から。それもまた切ないお話ですよね。
吉原では心底「この人」と思った客に、自分の切った小指を贈る習慣があり、おフジはその習慣にならって小指を切ったわけですが。
戦争で焼け野原になったあと、おフジはいい仕事を紹介すると騙されて男たちに犯されてしまい、一度汚れた体だから、と女郎になっていたのでした。
それから10年、守銭奴のように金を稼ぎまくっていたおフジが最後に出会ったのが、心の底から好きになれる男性で、結ばれることはなく悲恋でしたけれども、誰かを愛することができただけでもそれは「幸せ」だったのではないだろうか、と思えた切ないお話でした。
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