それ欲しい ネタバレ(闇っ子収録作)第3話 安武わたる作
あれが欲しい、と思ったら手を伸ばさずにはいられないーー万引きの常習犯の少女・アキラは、なぜ「自分が使わないもの」ばかり盗むのか。
ネグレクトされ、母親の愛情に飢えたひとりの少女が、児童養護施設の冷血女と出会い自らを振り返るお話です。
「それ欲しい」は「闇っ子〜戸籍のない子供たち〜」の3話目に収録されている作品です。
「それ欲しい」あらすじとネタバレ
万引き常習犯の少女
小学6年生の竹内アキラ(亜綺羅)は、デパートでまた物を盗んでしまい、捕まった。
母親に連絡がいくが「勝手にしてくれ」と言われ、やむなく養護施設の職員が迎えにきた。
アキラは母子家庭で、母親が水商売をしており、娘にかまうことがほとんどない。
ロボットみたいな冷血女
いつものように養護施設から迎えがきたが、鬼島という女性職員で初めて会った。
今までの職員とは違い、事務的でロボットみたいに冷血。
親に期待するな、という鬼島
冷たい言い方。キツイことも平然という鬼島に、アキラはますますむかつく。
「それ欲しい」の感想
いわゆるネグレクトのお話でもあるのですが、アキラは「母親の愛」を期待し続けているあまり、万引きに走ってしまいました。ママにプレゼントすれば喜んでくれる、と自分で使いもしないかわいい小物を「秘密のリュック」に入れていたのです。
アキラが本当に欲しかったものは母親の愛情でしたが、結局それは最後までもらうことはできませんでした。
母親は熱を出して動けない娘を見ても「やだあ、病気? 待ち合わせに遅れちゃう」と平然と見捨てて、二度と帰ってきませんでした。
悲しいのは、どんなひどい扱いを受けても子供は親を恨むことができない、ということです。アキラは「親の愛情」をあきらめることはできましたが、愛情のかけらもない母を最後まで憎むことはありません。
理不尽な親子関係・・・しかし、やっと執着を捨てられたことでアキラは自分の本当の人生を歩み始めることができてよかったなあ、と感動しました。鬼島も一見クールなのに、本音は優しい人でした。
第4話いらない子のネタバレ
甘い話苦い水 ネタバレ(闇っ子収録作)第2話 安武わたる作
安武わたる先生の短編漫画集「闇っ子〜戸籍のない子供たち〜」の第2話「甘い話苦い水」のあらすじとネタバレのご案内です。
ダメ男と結婚した主婦が、夫に家の金を持ち出されて真面目なひとり息子にまで迷惑をかけ、息子は足りなくなったお金を工面するために「死体洗い」のバイトをすることに。
それをきっかけに、息子は精神を病んでいき・・・
なお、「甘い話苦い水」は「闇っ子〜戸籍のない子供たち〜」の2話目に収録されている作品です。
「甘い話苦い水」あらすじとネタバレ
ロクデナシ夫に苦労する主婦
相沢幹子は42歳の主婦。大学生になる息子・公太は真面目で頭がよく、一流の大学に奨学金をもらって通っていた。
けれど、夫婦生活は最悪だった。
ギャンブルだけではなく、女と遊んで借金まで作ってしまう本物のロクデナシ。
一緒にいるとまともな生活すらできない、苦労をさせられるばかりだとわかっていても、幹子は夫と離婚しないのには理由があった。
それは息子を「父親のいない子供」にしたくない一心だったからだ。
金を稼ぐために「死体洗い」のバイトをする公太
貯金をありったけ持って行かれてしまった公太は、医大の知り合いが「死体洗い」のバイトを紹介してくれた、と幹子に報告する。
ゾッとするような仕事ではあったが、一日3万という高額で断るにはもったいない。
だが、死体洗いのバイトを初めてから、公太の様子がおかしくなっていった。
体中から、「あの匂い」が染み付いて取れず、
たった一晩で、地獄を見てきたかのようにげっそりと痩せてしまった息子・・・
「甘い話苦い水」の感想
旦那はギャンブル狂いのろくでなしなのに、息子は真面目でいい子・・・こういう組み合わせって結構いるんですよね〜。世の中って不条理です。
金にだらしない父親のせいで、息子が自分の学費から借金を返済し、そのせいで「死体洗い」というかなりゾッとするバイトをしなくてはならなくなってしまいます。
幹子は息子を心配してバイトを手伝うようになりますが、「こうなったらもう、タダの物体。人間最後にこうなっちまうんだねえ」と何かを悟ります。
別れたほうがいいと思っているのに、息子のためにと我慢し続けてきた夫を最後に捨てることができたのは、このバイトで「へんな意地をはるのが馬鹿らしい」と。
今生きることを楽しんで、大切な時間を大切な人のためだけに使いたい、と考えたのではないでしょうか。
実話だそうですから、壮絶な内容ですね・・・
3話目「それ欲しい」のネタバレ